トランプ氏のエネルギー長官指名：化石燃料CEOクリス・ライトが上院に確認される

2025年2月3日、上院はリバティ・エナジーのCEOクリス・ライトを新しいエネルギー長官として確認し、ドナルド・トランプ大統領の下で米国のエネルギー政策が大きくシフトすることとなりました。

背景と資格

クリス・ライト（60）は、2011年からリバティ・エナジーの会長兼CEOを務めています。政府での経験はありませんが、エネルギーセクターからの豊富な専門知識を持っています。コロラド州で育ち、MITで学士号を取得した後、カリフォルニア大学バークレー校とMITで電気工学の大学院研究を行いました。

ライトのエネルギー業界でのキャリアは、1992年にピナクル・テクノロジーズを設立し、ハイドロリックフラッキング（フラッキング）を通じて商業シェールガス生産を開始したことが注目されています。その後、初期のシェールガス生産者であるストラウド・エナジーの会長を務め、2010年にはリバティ・リソースを設立しました。

確認と上院投票

上院はライトの指名を59対38で承認しました。興味深いことに、コロラド州の両上院議員を含む8名の民主党員が彼の確認に賛成票を投じました。

エネルギー政策と気候変動に対する姿勢

ライトは、化石燃料生産の増加を強く支持することで知られており、これが世界中の貧困層を救う手助けになると主張しています。彼は気候変動に対抗する取り組みに対して公然と批判を行っていますが、気候変動が現実であることは認めています。「汚いエネルギーやクリーンなエネルギーは存在しない。エネルギーにはそれぞれトレードオフがあるだけだ」との見解を示しています。

トランプ氏のエネルギーアジェンダ

トランプ大統領のエネルギー政策の中心には「ドリル・ベイビー・ドリル」というスローガンがあり、これは米国の「エネルギー支配」を目指すものです。トランプ氏は、民主党の「グリーンニューディール」を解体するとともに、石油、天然ガス、石炭などの化石燃料の生産を促進することを誓っています。

エネルギー長官としての役割と責任

エネルギー長官として、ライトは内務長官ダグ・バーグムとともに新しい国家エネルギー評議会に取り組んでいきます。この評議会はすべての行政機関を含み、エネルギーの許可、製造、生成、配分、規制、運輸に関与します。焦点は「手続きの簡素化」と国内エネルギー生産の促進にあり、これは前大統領ジョー・バイデン氏の気候中心の方針とは対照的なものであります。

反応と批判

ライトの確認には支持と批判が交錯しています。ワイオミング州のジョン・バラスソ上院議員やユタ州のマイク・リー上院議員などの共和党上院議員は、ライトをアメリカのエネルギーと革新のチャンピオンとして称賛しました。コロラド州の民主党の上院議員、ジョン・ヒッケンルーパーとマイケル・ベネットも彼を支持しており、その専門知識とエネルギー革新へのコミットメントを強調しています。

しかし、環境団体は反対の声を上げています。エバーグリーンアクションのエグゼクティブディレクター、レナ・モフィットは、上院がトランプの「ビッグオイルの仲間たち」に「エネルギー省の鍵」を渡したと批判しました。彼女は、ライトのキャリアは化石燃料を拡大し、気候科学を否定することに基づいていると述べ、この任命がトランプのクリーンエネルギー投資を妨げ、アメリカ人を高価で不安定な化石燃料に依存させ続けるだろうと指摘しました。