ロシュとジーランド・ファーマの53億ドルの肥満治療薬提携
2025年3月12日、スイスの製薬大手ロシュとデンマークのバイオテクノロジー企業ジーランド・ファーマは、期待の新たな肥満治療薬ペトレリンタイドの開発と商業化に関する大規模な協力関係を発表しました。この提携は、ロシュにとって競争が激しい肥満薬市場への大きな進出を意味します。
契約の重要な詳細
- 総潜在価値:最大53億ドル
- 前払金:16.5億ドル(契約締結時に14億ドル、2年間で2.5億ドル)
- 追加の潜在的支払い:開発マイルストーンで12億ドル、販売ベースのマイルストーンで24億ドル
- 利益/損失の分配:米国と欧州での50/50分配
- ロシュはその他の市場における独占的商業化権を取得
- ジーランドは世界の残りの地域での純売上に対して二重のティア・ロイヤリティを受ける資格がある
ペトレリンタイドについて
ペトレリンタイドはジーランド・ファーマの長時間作用型アミリンアナログであり、一週間に一度皮下注射で投与される設計になっています。現在、フェーズ2の臨床試験が進行中で、単独療法としても他の減量治療との併用としても可能性を示しています。
主要な特徴:
- アミリン受容体をターゲットにして、患者がより早く満腹感を感じる手助けをする
- GLP-1薬と同等の減量効果を目指しながら、より良好な耐容性を実現
- 減量中に筋肉量を維持する可能性
戦略的意義
この提携はロシュの肥満治療市場におけるポジションを大幅に強化します:
- ロシュの心血管、腎臓、代謝(CVRM)疾病における既存のポートフォリオを補完
- ロシュのインクレチン資産CT-388との併用療法の開発を可能にする
- ロシュがノボ・ノルディスクやイーライ・リリーなどの市場リーダーと競争するための基盤を築く
市場の反応
この発表は投資家に良い反応を示しました:
- ジーランド・ファーマの株価はコペンハーゲン証券取引所で33.5%上昇
- ロシュの株価はスイスの証券取引所で5.3%上昇
- アナリストはこの契約を好意的に評価しており、ペトレリンタイドのピーク売上が50億ドルから100億ドルに達すると予測する声も
今後の展望
- ペトレリンタイドのモノセラピーに関するフェーズ3の試験が間もなく始まる予定
- 2020年までに商品化を目指す
- 2023年までに肥満市場が全世界の40億人以上に影響を及ぼすと見込まれている
この提携や肥満治療の景観に与える影響についての詳細は、以下を訪れてご確認ください:
ロシュの公式プレスリリース

記事の執筆者

Tanaka Takumi
金融専門家