ロシュとジーランファーマ、肥満治療薬のための53億ドルの契約を発表

ロシュとジーランファーマ、肥満治療薬のための53億ドルの契約を発表 経済ニュース
ロシュとジーランド・ファーマが肥満治療薬の開発に向けて53億ドルの契約を締結しました。この戦略的提携により、両社は新しい治療法の研究と市場投入を加速し、肥満の治療における革新を目指します。

ロシュとジーランドファーマ、53億ドルの肥満薬パートナーシップを発表

2025年3月12日、スイスの製薬大手ロシュとデンマークのバイオテクノロジー企業ジーランドファーマは、肥満治療薬の開発・商業化を目的とした大規模な提携を発表しました。この契約は最大で53億ドルに達する可能性があります[1][2]。

契約の主要内容

  • このパートナーシップは、ジーランドファーマのアミリンアナログ薬候補ペトレリンタイドの共同開発と共同商業化に焦点を当てています[1]
  • ロシュはジーランドファーマに対し、16.5億ドルの前払いを行う予定で、内訳は閉鎖時に14億ドル、次の2年間で2.5億ドルです[3]
  • ジーランドは追加のマイルストン支払いとして最大36.5億ドルを獲得する資格があります[3]
  • 両社は米国および欧州での利益と損失を50/50で分配します[4]
  • ロシュは世界の他の地域における独占的な商業化権を獲得し、ジーランドは段階的ロイヤリティを受け取ることになります[4]

ペトレリンタイドの概要

ペトレリンタイドは、現在第2相臨床試験中の長時間作用型アミリンアナログです[1]。重要なポイントは次の通りです:

  • 週に1回の皮下投与を想定して設計されています[1]
  • 初期の試験で有望な結果を示し、参加者は4か月間で平均8.6%の体重減少を確認しました[7]
  • 単独療法およびロシュのインクレチン製品CT-388との併用療法として開発されます[1]

戦略的重要性

この提携は、両社にとっても肥満治療の分野にとっても重要です:

  1. 肥満治療の選択肢の拡大:パートナーシップは、ペトレリンタイドを可能性のある基盤療法として開発し、未充足の医療ニーズに応えることを目指しています[7]
  2. 相互補完的な専門知識:ジーランドは革新的なペプチドベースの薬剤開発を提供、ロシュはグローバルな製造・商業能力を持ち寄ります[7]
  3. 市場機会:2035年までに肥満が全世界で40億人以上に影響を及ぼし、200以上の関連合併症が予測されています[7]
  4. 競争力の向上:この提携は、肥満治療市場における両社の競争力を強化し、ノボノルディスクやイーライリリーといった既存のプレイヤーと対抗するものです[6]

役員のコメント

「我々は、ジーランドファーマとの協力に興奮しており、肥満と関連合併症を抱える人々に新しい治療オプションを提供できることを願っています。ペトレリンタイドを未来の基盤療法として開発するというビジョンを共有しています。」 – テレサ・グラハム、ロシュファーマシューティカルズCEO[1]
「この変革的なパートナーシップを発表できることに興奮しています。ペトレリンタイドの潜在能力を最大限に引き出し、過体重および肥満を抱える多くの人々に未充足のニーズに応える基盤療法を提供することを強く信じています。」 – アダム・スティーンズバーグ、ジーランドファーマ社長兼CEO[1]

市場の反応

発表は投資家に好意的に受け入れられ、ロシュの株価はニュースの後に5%上昇しました[14]。このポジティブな反応は、肥満治療市場の可能性とこの提携の強さに対する市場の楽観的な見方を反映しています。

今後の展望

提携が進展する中、注目すべき重要なマイルストーンには以下が含まれます:

  • ペトレリンタイドの第2b相肥満試験の完了[8]
  • GLP-1受容体作動薬との第1b相併用試験の開始[8]
  • 規制当局への申請及び承認の可能性
  • 市場投入と商業パフォーマンス

ロシュとジーランドファーマのこのパートナーシップは、肥満治療の分野において重要な発展を表しており、世界中の数百万の患者に新しい治療オプションをもたらす可能性があります。

ロシュの公式プレスリリースで詳細をご覧ください

記事の執筆者
Tanaka Takumi
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